生産者の方が語る熱い思い! 京都・調味料サミットG7に参加してきました。

はるばる京都まで、岐阜から在来線に乗ってのんびりと、プチ旅行がてら「京都・調味料サミットG7」なるものに行ってきました。

「調味料サミット」ってなんだかすごく壮大なネーミングですが、開催されたのは小さなカフェの2階にあるサロン。

京都市烏丸にある、「ゴマクロサロン」さんです。

こちらは、京都では有名なゴマ油の会社である「山田製油」さんが経営するカフェです。

2Fのサロンでは、さまざまなイベントを開催されているようですね。

小さなカフェでのこじんまりとしたサミットでしたが、生産者の方々が熱く語る、とっても熱いサミットだったのです!

2日間にわたって開催されたサミット。

・さとう(黒糖) 喜界島工房(鹿児島)
・しょうゆ    かめびし屋(香川)
・す       河原酢造(福井)
・おみそ     マルカワみそ(福井)
・みりん     角谷文治郎商店(愛知)
・おだし     津乃吉(京都)
・あぶら     山田製油(京都)

というラインナップで、それぞれの調味料の生産者の方が約1時間ずつの講座をされるのですが、私は2日目の「マルカワみそ」さん、「河原酢造」さん、「津乃吉」さんの3社の講座に参加しました。

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「マルカワみそ」さん

越前有機味噌蔵 マルカワみそ さん、全国的にも有名ですよね!インターネット上での広告宣伝を沢山されているせいもあってか、次期社長である 河崎紘一郎 さんのお顔は頻繁にネット上で見かけます。

実物を拝見したときは、「あ、ホンモノだ!」と思ったくらい。(笑)

この河崎さん、かなり天然入ったとってもおもしろい方で、しかも仏のような優しい雰囲気の方です。Eテレの「おかあさんといっしょ」に出てくるお兄さん的な感じ。

そんな、ほんわかした方ですが、味噌作りに関してはしっかりとした理念を持って熱く語っていただけました。

「味噌のあたたかさは心のあたたかさ」

肝はそんなお話。

まずは、味噌の製造方法から選び方(ラベルの表示、原料の比較、製法の比較)などを簡単に説明され、マルカワみその作る味噌と、日本最大手の某メーカーの味噌を食べ比べ、違いを教えてもらいました。

うむ。

こうして食べ比べてみると、明らかに違いがわかりますね!某メーカーのお味噌はいろんな混ぜ物が入っているので、少し出汁の味がするのと、ちょっと塩辛いと感じました。

「マルカワみそ」さんのすごいところは、種麹を自家採取しているところです!

一般的に味噌蔵の方は、全国に十数件しかないと言われる、通称「もやし屋」さんから種麹を購入し、その種麹をもとに自分たちで麹を作ります。しかし、「マルカワみそ」さんは、自家採取した天然の蔵付き麹菌を使っているんです。

めずらしいですよねー。

それに、自然栽培や有機栽培にとことん拘っていて、原料の大豆や米はすべて自然栽培もしくは有機栽培の物なんです。さらに、塩にも拘りがあり、世界各国の選りすぐりの塩を材料に合わせて使い分けているそう。

その分お値段は張りますが、材料や手間暇のことを考えたら決して高くありません。むしろお値打ちなのでは?


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ヴィバルディの「四季」を聞かせながら熟成したという変わったお味噌も!


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甘酒もありますよ。


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河崎さんの思いは、「味噌の良さをどうしても伝えたい!」ということ。昔に比べると、米の消費量も味噌の消費量もずいぶん減ってしまった日本。1960年代と比べるとほぼ半減してるそうです。

昭和の一般的な家庭のように、朝起きると台所から、お母さんがお味噌汁の具材を切る「トントントン」という音が聞こえ、お味噌汁の香りがぷーんとしてくる、そんな光景ってなんだか幸せですよね。

朝の一杯のお味噌汁が、その日の元気の源になる。そんな習慣を日本が取り戻していくといいですね!

お味噌がもたらすさまざまな健康効果は、科学的に証明されています。しかし、それだけが理由じゃなく、温かいお味噌汁が心を暖かくするという素晴らしい効果を、多くの人に知ってもらいたい!というようなお話をされていました。

河崎さんのお話で一番印象的だったのが、

「食」という字は、人を良くすると書きます。

というフレーズ。

もしかしたら、昔からいろんな人があちこちで言っているありふれたフレーズなのかもしれませんが、私はなんだか初めて聞いたフレーズのような感覚がして、「なるほどなー」なんて、しみじみ納得してしまいました。

確かに、食は人を良くするものですよね♪

改めて、食の大切さを感じました。今更だけど、漢字ってすごく考えられてるなー。

「河原酢造」さん

こちらも福井県で、天然醸造のお酢を造られている生産者さんです。

お酢に関しては、昔ながらの製法で造られている生産者さんは本当に少ないということは知っていたので、その数少ない生産者の方のお話を聞けるのは滅多にない機会だと思い、とても楽しみにしていました。

河原酢造さんは、ほぼ家族経営のかなり小規模な会社で、社長=製造職人という会社だそうです。昔ながらの製法を守ってお酢を造られており、自社栽培で無農薬の米から作っているという拘りぶり。

講座では、酢作りの話の前に農業のお話や酒造りのお話を熱く語られました。

良いお酢を造るためには、まずは良い米が必要。そして、良い酒が必要なのです。酒の品質がお酢の品質を決めると言っても過言ではないそうで、酒を造る工程は特に力が入るそうです。

●無農薬栽培の難しさ
自然農法での栽培にとって、除草は大きな難題。合鴨農法なども試され、今は「紙マルチ農法」で雑草対策をされているそうです。この農法は紙代にとてもお金がかかるので、小規模でなければ無理なんだとか。 無農薬で栽培されている作物ってお値段高いけど、こうして無農薬で栽培することの大変さを実際に聞くと、それくらいのお値段するのは当たり前なんだなーって思います。大変だけど、それを作ってくれる生産者の方がいるってことは、本当にありがたいことだなーって思いました。

●お酒の作り方
精米も自社でされています。お酢を作るための酒は、飲む酒とは全く違う濃厚な酒なんだとか。飲む酒は精米歩合が低いほどさっぱりした飲み口になり、そのパーセンテージで吟醸とか大吟醸と呼ばれるものになります。お酢のためのお酒は、ほとんど削らない(精米歩合が高い)ため、濃厚な酒になるのです。

精米 ➡ 米洗い ➡ 一晩水につける ➡ 蒸す ➡ 麹をつくる ➡ 酒

●お酢の作り方
酢酸菌の添加方法は、醸造中の別のタンクから少しだけすくってきて、その酢酸菌の膜を酒を入れたタンクの表面に浮かべると、2日ほどでタンクの表面全体に膜が広がるそうです。酢酸菌は好気性なので、沈まずに表面に膜を張るんですね。

現在日本で流通しているお酢の99%は、全面発酵とか深部発酵といわれる、機械を使った「連続法」という即醸法で造られていますが、河原酢造さんのお酢は表面発酵とか長期発酵といわれる、自然にまかせた「静置発酵法」を採用されています。

これこそが、昔ながらの伝統的な醸造法なのです。タンクの中は一見、まったく動いていないように見えますが、お酢はアルコールより重いので沈むことによって、ゆっくりと対流しています。

静置発酵法で作るお酢は、連続法で造るものに比べて酸味がまろやかになるんだそうです。

実際に、某ミツカンのお酢と河原さんのお酢を飲み比べさせてもらいましたが、明らかにミツカンのほうは酸っぱさが舌にイタイ感じでした。

造った酒を33℃に温める ➡ 酢酸菌を添加する ➡ 約3ヶ月で酢になる

河原さんのお酢。パッケージが渋い!


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小さいサイズもあります↓


有機純米酢 老梅 900ml[河原酢造(こうばら) 純米酢]

「津乃吉」さん

津乃吉さんは、京都にある京佃煮のお店です。

佃煮やさんだけど、「だし」には並々ならぬ思い入れがあるようで、講座では出汁のお話をしていただけました。

津乃吉さんのモットーは、「素材を美味しく食べてもらいたい=素材を活かした料理(加工品)を作りたい」というもの。これは京懐石の考えに近いものだそうです。

「だし」は、その旨味成分によって色々な調味料の味をうまくまとめ、バランスをとり、全体的に美味しさをアップしてくれるものだというのが津乃吉さんの「だし」に対する感覚。

どんな料理でも、煮たり茹でたりする工程がある場合に、水ではなく出汁を使うことによって驚きの美味しさになるんだとか!

また、「だし」とは、素材を余すことなく(捨てることなく)使い切ることができるもの。素材を絶対に無駄にしないということが、津乃吉さんの大切にしていることだそうです。

実際に、出汁の取り方の実演をしていただきました。

美味しそうな香りが漂います♡

昆布は、カットしてあるものを購入するよりも、大きいものを買ってきて自分で切るほうが良い。また、切ったほうが旨味の抽出効率が良いそうです。

昆布の旨味成分であるグルタミン酸を抽出する温度は、60℃が適温。

かつお節の旨味成分えあるイノシン酸を抽出するのは80℃で十分なので、そんなに沸騰させなくてもOK。

●旨味のはなし
味覚には「甘味・酸味・塩味・苦み・旨味」の五味がありますが、旨味という味覚が発見されたのは、ほんの100年ほど前のこと。ちなみに、辛み・渋みは味覚ではなく痛覚の一種なんだとか。

トマトと牛肉を合わせたイタリア料理、かつおと昆布を合わせた出汁、長ネギと鶏肉を合わせた中華料理などのように、2つ以上の旨味成分が存在することで、強い旨味が生まれます。人は昔から、感覚的に旨味の相乗効果を知っていて料理に利用していたのですね。

また、科学的には塩の濃度が0.6%で旨味が最大になります。京風おすましの塩分濃度は0.8%~0.9%であり、これも昔から人々は感覚的に旨味を最大限に引き出す方法を知っていたからだと言えますね。

赤ちゃんは旨味が好きなんです。なぜかと言うと、母乳にはグルタミン酸がたっぷり入っているから! 人は、欲してる味覚によってその時に身体が欲している栄養素などがわかるとか。

甘味が欲しいとき ➡ エネルギーを欲しているシグナル
旨味 ➡ タンパク質を欲している
塩味 ➡ ミネラルを欲している
酸味 ➡ 腐敗物がある(排出したい)
苦み ➡ 毒物がある(排出したい)

といった具合に。

そして、旨味は満足感に関与しているんだとか。旨味が強い食べ物を食べると満足感が得られ、食べ過ぎを防ぐことができるのです。

旨味って、すごい!

出汁を飲み比べて、その出汁が何から取られているかを当てる「利きだし汁」なんていうコーナーもあって楽しかった♪

津乃吉さんのお話で心に残ったのは、

「ていねいな事をすると、心が豊かになる」

というフレーズ。

現代人は忙しいので、和食を作るときにだしパックを使うという家庭が多いかと思います。しかし、ちょっと手間はかかりますが、出汁をとるとなんだか丁寧な気持ちになるんですよね。

ていねいな暮らしって、憧れますよねー。

出汁を取ることだけじゃなく、家事とか日常のさまざまな雑事を、ちょっとていねいにやってみるだけで、心にゆとりができて、心が豊かになれるんです。

その考えって、断捨離にも通じるし、私の目指している「シンプルライフで心にゆとりを持った自由な人生」にも通じているんです!

出汁の講座で、こんなに素敵なお話が聞けると思わなかったなー。津乃吉さん、素敵ですわー。

あ、津乃吉さんてのはお店の名前で、お話されたのは社長の 吉田大輔 さんです。

津乃吉さんの商品はこちら↓

4社セッション

最後は、この日講座をされた4社の方が集まってのトークセッションでした。

テーマは、
伝統的な製法を守る次世代リーダーが語る!
「変わらない為に変わり続けること」とは?

みなさんそれぞれ、昔ながらの製法を守って日本の伝統文化を支えている生産者の方々。これからの日本の伝統文化の未来についてや、こだわりの話、食品表示法についてのガチトークなど、本音トークがとっても面白かった。

それに、やはり皆さんの熱い思いが伝わってきて、改めて「あー、応援したいな」って思えました。

皆さん経営者なんだけど、ただ単に「物を売りたい」とか「儲けたい」じゃないんですよね。「伝統を伝えたい、手造りの良さを伝えたい!」というのが前面に出ているんです。それを伝えるには、作り手が楽しそうにしていることが大切。といって、皆さん自分の仕事は本当に好きで楽しくて仕方ないといった感じでした♪

まさに、素敵なヘンタイの集まりですな
( *´艸`)♬

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