「醤」ひしお って知ってますか? とっても欲しかった調味料「醤」を仕込みました!

ずっと前から欲しいなーと思っていた万能調味料、「醤」のお勉強と仕込みをしてきました!
醤の存在を知ってから、すごくすごーく欲しかったんです!

で、醤って何?醤油とは違うの?

「醤」と書いて「ひしお」と読みます。発酵食品に詳しい方なら知っている方も多いと思いますが、一般的にはあまり知られていないと思われる、いわゆる「発酵調味料」です。

今回も、発酵食のスペシャリスト「醸せ師」さんの講義でしっかりお勉強してきたので、醤についてのイロイロを書こうと思います!

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比之保 (ひしお) →  醤(ひしお)

まずは醤の歴史から。

日本では古来、食材を塩漬けにして出た液体のことを全て「ひしお」と呼び、漢字では「比之保」と書いたそうです。

で、比之保がなんで全く違う「醤」という漢字になったかというと、平安時代に平清盛が福原の港で中国(宋の国)と貿易などをしており、そのとき中国では調味料のことを総称して「醬」(ジャン)とよんでいて、その「醬」という漢字が「かっこいいじゃん」ってことで、「ひしお」「醬」という漢字をあてはめちゃった!というわけです。

それで、「醬」という漢字が変化して今の「醤」になり、日本古来から存在する比之保のことを、「醤」と書いて「ひしお」と読むようになったんですね。

ややこしいんですが、とにかく 醤 はその字からしてなんとなく中国から伝わってきた調味料かと思いがちですが、そうではなく、日本に古来から存在した調味料だということです。

醤は「食材を塩漬けにして出た液体」なんですが、それが魚・肉・草・穀の4つに分かれていきました。

魚醤(うおびしお)

魚介類を塩漬けにしたものから出た液体のこと。

いわゆる魚醤(ギョショウ)ですね。日本では秋田の「しょっつる」、金沢の「いしる(いしり)」、高知や香川の「いかなごしょうゆ」があります。「しょっつる」はハタハタから、「いしる」はイカやタコから作られます。

海外ではタイの「ナンプラー」やベトナムの「ヌクマム(ニョクマム)」などが有名ですね。魚醤はうまみ成分がイノシン酸だけなので、何とも言えない臭いを発します。なんてゆうか要するに、クサイですね。

肉醤(ししびしお)

肉の身と内臓を別々にして塩漬けにし、内臓から出た液体にさらに身を漬けこんで保存したものです。

肉や魚の内臓には酵素がたっぷり含まれているので、内臓が乳酸発酵して出来た酸性の液体に身を漬け込むことによって、保存性が高まるんですね。

日本では、それと同じ製法が肉ではなく魚で使われています。塩辛ですね!

草醤(くさびしお)

野菜を塩漬けにして、浸透圧で出た液体のことです。

漬物を漬ける前にする工程ですね。このあと、糠などに漬けて漬物にできます。

穀醤(こくびしお)

これが、現在の醤油や味噌となるものです。

魚醤、肉醤、草醤ともに塩に漬けただけでしたが、穀物や豆類は塩のみでは分解されません。穀類を分解(発酵)するためには、塩・加熱・微生物・加水・圧力の要素が必要になってきます。醤油や味噌を作る工程を思い出してみると、たしかに全部の要素を使ってますよね!

味噌の歴史

平安時代は「末醬」(みぞう)という名前だった味噌。鎌倉時代には「未醬」を汁にした「味噌汁」の原型ができていたそう。鎌倉時代に現在の和食の基礎ができたと言われているそうです。そして室町時代、「味醬」「味噌」「醤油」に分かれたのです。

古来から存在した「醤」という調味料から、現代の「味噌」「醤油」に変化していったというわけですね!醤油より先に味噌の原型ができて、その味噌から分離する液体を醤油にしたってことでしょうかねー。そうだとしたら、もともとの醤油は「たまり醤油」だったってことですよね?

歴史って面白いなー!
食と絡めると、さらに面白い!
「食の万葉集」なる本があるそうなので、食と歴史に興味ある方は読んでみると楽しいかもしれません♪


食の万葉集―古代の食生活を科学する (中公新書)

そして戦国時代、戦で遠征が多い武士達は重要な栄養源として、味噌を丸めて中に干し野菜などを入れた「味噌玉」を腰袋に入れて戦に行ったそうです。

しかし、昔は穀醤はお寺の僧侶しか作ってはいけなかったので一般に出回る数は少なく、貴重な物だったのです。一般の人も、味噌の作り方は知っているけど、そうゆう決まりがあったらか作れなかったんですね。

そこで登場した味噌普及の救世主が、独眼竜政宗こと「伊達政宗」さんです!

伊達政宗は禁止されている味噌作りを勝手に解禁し、日本初となる味噌蔵「御塩噌蔵」を建てたのです。いやー、かっこいいですね伊達政宗!カッコいいカッコいいとは思ってたけど、まさか味噌の普及に一役買っていたとは知りませんでした!

そして、伊達政宗に続いて武田軍も味噌作りを推し進め、軍隊の勢力を強めていったそうです。仙台の伊達政宗、信州の武田信玄が広めた味噌なので、現代の「仙台味噌」と「信州味噌」が有名になったという説があるそうです。

醤ってどう使うの? 身体への健康効果は?

醤は、とりあえず普通に醤油とか味噌の代わりに調味料として使えます。加熱せずそのまま使うと醤油のような味、加熱する料理に使うと味噌のような味になるそうです。

特に変わったことをしなくても、炒め物にさっと入れたり、汁物に入れたりするだけでいいんです!しかも、いろんな調味料を入れなくても醤だけの味付けでいけちゃう!

なんて素敵な調味料♪

そして、そんな食材にも合うんです!
合わない食材なんて、ほぼ無いに等しいくらい。

炒め物に入れたりするだけの簡単な使い方もできるし、それ以外にもエスニック風の料理や中華料理、オイスターソースや煮卵の味付けや、漬け床にまで!

活用法は沢山あります!
醤を使ったお料理の活用法は、醸せ師さんの「発酵教室」へ行けばいろんなことを教えてもらえますよー。

私が最近よくお世話になっているのが、愛知県岡崎市の 東岡崎 Cafe & Restaurant Bar FaNaka さん。醸せ師さんは全国にいらっしゃって、各地で活動されているんですが、私の住む岐阜県から一番近いのはこちらのレストランバーにいらっしゃいます。

ここの発酵教室はとっても人気で、愛知県内はもちろん、岐阜や三重からも来る人が多いみたいです!

毎回、ほんと面白い講義で内容もかなり充実していて、醸せ師さんの情報量の多さには脱帽です!ご飯も美味しいし、この教室は本当オススメです!

醸せ師さんについてや、以前のFaNaKaさんでの講座の様子はコチラ↓

そしてそして、気になる醤の健康効果ですが・・・。

めちゃくちゃ美容と健康に良いんです♪

甘酒が美容と健康にとっても良いというのは、上記の記事の中でお話しました。その甘酒と変わらない効果が醤にはあるんです! しかも、アミノ酸が甘酒より多いんです。

甘酒も、醤も、酵素がたっぷり摂取できて美容と健康にとっても良い発酵食品なんですね♪

醤の作り方と保存方法

豆麹と麦麹をブレンドしたものを使用するんですが、今回は名刀味噌さんの「ひしおの糀」を使いました。

自分でブレンドしてもいいですが、最初からブレンドされた便利なものが売っているので、そいうったものを使うと楽ちん。
無添加で安心♪おすすめです↓↓↓


ひしおの糀 550g×3個 JANコード:4958916000613 名刀味噌本舗

タッパーなどの容器を消毒し、「ひしおの糀」と醤油600cc・水300ccを入れます。水はミネラルウォーターは使わないほうがいいそうです。そして手でぎゅうぎゅうと、麹をつぶしていきます。素手で混ぜて、表皮常在菌をいっぱい醤に食べさせてあげましょう!
ある程度潰れたら、昆布を適量入れて終了。

仕込はとーっても簡単です♪

注意しなければいけないのが、納豆とぬか漬けです!

納豆菌はとっても強い菌なので、醤に菌がうつってしまわないよう、前日から納豆を食べたりさわったりしてはいけないんです。これは、醤油を作るときも同じですね。だから、醤油蔵で働いている人は納豆食べられないんです! なんてかわいそう(´;ω;`)! 醤油蔵に見学に行く人も、前日から納豆は厳禁ですよー( `ー´)ノ

そして、ぬか漬けも菌の種類が違うので、醤を仕込む前はぬか漬けを混ぜるのはNGです。

納豆だめなのは知ってたけど、ぬか漬けもだめだとは知らなかった(;´∀`)

そして、仕込んだ日から一週間の間は毎日まぜまぜします。その間、納豆は禁止です。さいきんほぼ毎日のように納豆を食べる習慣がついている私にとって、一週間も納豆が食べられないなんて拷問に近いわ!ってくらい切ないですが、これも美味しい醤ちゃんを育てるため・・・我慢です!!!  強制的に、夫にも息子にも納豆は我慢してもらお♫

一週間たったら、あとは2、3日に一回混ぜればOKなんですが、できれば毎日混ぜたほうが良いそう。どうせぬか漬け毎日混ぜてるんだから、醤も毎日混ぜたろー

と、思ったんですが、ここで注意が必要です!

仕込みするときだけでなく今後ずっと、醤と納豆、醤とぬか漬けは近づけてはならんのです!

なので、朝家事をする私の場合、起きたらまず

①醤を混ぜる

②ぬか床を混ぜる

という順番を守らねばなりません。

そして柑橘系やヨーグルトも良くないので、毎朝甘酒にミカンとか入れて食べる私は朝ごはんを食べる前に醤を混ぜないといけないんです。あとは、納豆はなるべく昼ご飯に。

醤は保存容器は、タッパーや琺瑯、ガラス瓶などが適しています。
適していないのは、アルミ・ステンレス・鉄など。麹が素材を分解しようとするので、例えばガラス瓶でもフタが鉄製がったら、湿気があるわけじゃないのにフタが錆びてしまうそうです!

麹って、ほんとすごいですよね。すごい分解能力!

そして、絶対に常温保存です。間違っても冷蔵庫に入れないように。20℃前後が最適です。

あとは、保存している間に酸っぱくなったとかアルコール臭が出たとき。

※酸っぱくなった時・・・植物性乳酸菌のしわざです。醤は麦を使っているので糖度が高く餌が多いから乳酸菌が繁殖しやすいのだそうです。温度が低いと乳酸菌が出てくるので、酸っぱくなったときは、醤くんが寒がっていたということですね! 酸味が出てしまったら、慌てずに醤をつぎ足せばオッケー。

※アルコール臭がした時・・・嫌気性になったから(混ぜなかったから)です。酵母が糖を代謝するとアルコール発酵します。酵母の繁殖温度は20℃~80℃ですが、特に30℃前後で最も繁殖しやすいので、夏場は注意が必要です。 とにかく、頻繁に混ぜたり大きめのバットに広げて空気に触れさせたりすると良いようです。あとは、夏はなるべく醤を継ぎ足さないようにしたほうが無難です。

講義のあとは、美味しい美味しい発酵ランチ♪

 

今回も、ほんと美味しかったなー♥
おうちでも再現してみよ♪

醤の活用は、発酵王子・伏木暢顕さんの本がおすすめです!


醤(ひしお)の料理 -麹の天才調味料をつくる、つかう-

「醤」は、いちど仕込んだら継ぎ足し継ぎ足しして育てていくことができる調味料です。同じ材料から作っても、混ぜる人やその家の常在菌によって味が違ってくるので、世界に1つしかない自分だけの味をつくることができるんです!

わが子を育てるように毎日混ぜていれば、愛着も湧いてくるはず♪
なんて名前つけようかな~、私の醤ちゃん♡
(*´▽`*)

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