木桶で仕込む「たまり醤油」は岐阜にもあるんです! 岐阜市の老舗「たまりや 山川醸造」さんを見学させてもらいました。

たまり醤油といえば、愛知・岐阜・三重の東海地方でしか作られていない、珍しいお醤油ですね。消費するのもほとんどが東海地方の人で、他の地域の方にはあまり馴染みが無い醤油でもあります。

そして、たまり醤油が作られている蔵は東海地方でも愛知県の武豊町に集中しており、ほとんどのたまり醤油が武豊町で作られています。

たまり醤油大好きの私の一番のお気に入りである「宝山たまり」「中定商店」さんも、武豊町です。ここのたまりは本当にめちゃくちゃ美味しいです!

でもでも、武豊町以外にも美味しいたまり醤油を作っている蔵がちゃんとあるんですよ。それが今回見学に行った、岐阜県岐阜市にある「山川醸造」さん。

昔からある老舗の醤油蔵で、今でも昔ながらの製法で木桶を使った「たまり醤油」を作られています。

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蔵の見学と社長のお話

この日は、岐阜OYA-KO共育委員会という団体を運営されている上松さんと、調味料エバンジェリストの下倉樹さんが主催された蔵見学イベントでした。

とても素敵な活動をされているお二人がタッグを組んだ楽しいイベントで、小さな子連れの方も何人か参加されており、和気あいあいといした雰囲気の見学会でした。

調味料エバンジェリストの下倉さんから醤油についての基本的なお話を分かりやすく説明していただいた後、社長の山川さんから「たまり醤油」についてのお話を詳しくしていただきました。

一般的な濃口醤油などの原料は「大豆・小麦・塩」ですが、たまり醤油は原料に小麦を使わず、大豆と塩だけで仕込むものがほとんどです。昔は大豆だけを使っていたそうですが、「たまり醤は味噌くさい」と言われることがあったため、香りを良くするために小麦を少し混ぜるようになったそうですが、最近ではまた昔ながらの大豆のみを使ったたまりを作る生産者が増えてきたということです。

大豆の量が多いと旨味が強く、小麦が多いと香りが良くでるんですね。

通常のお醤油は、麹に対して120~130%の塩水を使って仕込むのですが、たまり醤油は麹の半分の五分または麹と同量の十割(十水)の塩水で仕込みます。そして、もろみの上に2トンの重石を乗せ、撹拌するのではなく「汲みかけ」という作業を行います。

原料だけでなく、製造方法も他の醤油とは違った独特の作り方ですね!

もろみを搾るのではなく、底に溜まった醤油を生引きするため、木桶の下のほうには蛇口が設置されています。

蛇口から小さな樽に醤油を受け、さらに大きなタンクに送り込む装置を使って、ゆっくりと醤油を引いていきます。たまり醤油は熟成期間が長く、仕込みから約2年間ほど熟成させるのですが、そこから更に生引きするのに約半年かかるそうです!

たくさんの重石を乗せます↑

↑空になった木桶の内部を見せてもらいました。桶の真ん中にえんとつのような筒が置いてあり、この筒の中に溜まった液体を上からすくって重石の上からもろみにかける汲みかけ作業は、熟成期間中の2年間、毎週1回は必ず行い、それ以外にも時間があれば汲みかけをするそうです。

長年使用した木桶には醤油が染み込んでおり、色が醤油の色に変化しています。また、酵母菌などの微生物もまだ住みついているよう。木桶は何度洗っても染み込んだ醤油が無くなることは無く、微生物も住み続けているそうです。空の木桶の内側は、今でも湿度が高いときは中から醤油が染み出してくるんだとか!木桶ってすごいですよね。

汲みかけの作業は、木桶の上に渡された板に乗って行われます。筒に溜まった液体をすくってもろみにかける作業は、なかなかの重労働だと思います。醤油は本当に手のかかる醸造物ですね~。でも、手をかければかけるほど美味しくなるんです。

桶の上に登って、もろみを見せてもらいました。良い香りが漂ってきます( *´艸`)

たまり醤油を桶の蛇口から生引きしていって、もろみの量が少なくなってきたら、↑このような筒を使って桶の中に人が入って醤油を筒に流し込みます。これもまた大変な作業ですね。

↑こちらは生引きをしきってカラカラになった桶の重石ともろみ。ここまできたら、最後はもろみを搾ります。

掘り出したもろみをすくって

特殊な布に広げて三つ折りにし、

こんな機械でぎゅーっと搾ります。

圧力をかけると、布の端から醤油がにじみ出てきます!

そして山川醸造さんでは、搾ったあとのカスは肥料や家畜のエサとして使用されるそう。無駄が無いですね。

ここで、丸大豆を使った醤油と脱脂加工大豆を使った醤油についてのお話がありました。

丸大豆を使って醤油を作ると、油が分離するのでその油は廃棄物になります。また、最後に残った搾りかすも破棄物になります。その油とカスを産業廃棄物として廃棄するにはお金がかかるので、丸大豆を使用すると、その分のコストもかかってくるのです。

ということはその分、醤油のお値段も高くなるんですね。

また、丸大豆と脱脂加工大豆では原料から仕入れ値がかなり違います。丸大豆は高いので、やはり醤油のお値段も高くなります。

脱脂加工大豆は仕入れ値も安く、油の産業廃棄物が出ないこともあって、コストが安く抑えられるため醤油のお値段も安くできるんですね。

そうすると、丸大豆を使った醤油が本物で脱脂加工大豆を使った醤油が二等品のような印象を受けてしまいがちですが、実際はそんなことはないと山川さんはおっしゃいます。脱脂加工大豆を使ったほうが余計な物が入っていないので旨味が強く出るということもあるし、醤油は原料だけでなく、作り方や作る容器や環境などに味が左右されるものなので、一概に丸大豆が良いとは言えないとのこと。たしかに、人それぞれ味の好みがあるので、丸大豆で造った醤油のほうが美味しいと思う人もいれば、脱脂加工大豆で作った醤油のほうが好きだと言う人もいますもんね。

山川醸造さんでは、一部の醤油を除く大半の消商品に脱脂加工大豆を使われているそうです。

↑インド産の遺伝子組み換えでない脱脂加工大豆。

ちなみに、岐阜市の学校給食は全て、岐阜県産の大豆を使った赤味噌でお味噌汁が作られているそうです!素晴らしいですね♪

そういえば最近、小学生が「給食の味噌汁が美味しい!」と言っているという話をちらほら聞きます。

醤油を使った軽食と一番搾りたまりのプレゼント

この日のイベントでは、搾りたてのたまり醤油を1人1本ずつお土産にいただけました♪

搾りたてのたまり生醤油なんて、めったに手に入らない貴重なモノです。最高のお土産ですね
(*´▽`*)

軽食は、はちみつ醤油バターを塗ったトーストと、大根のたまり漬け。

この「はちみつ醤油バター」、めちゃくちゃ美味しいです♥生チョコみたい!

最後は、種類の違う醤油の食べ比べもさせてもらえました。こうして比べてみると、白や淡口は塩気が強く感じ、さいしこみ醤油やたまりは濃厚でまろやかな味という違いがよくわかります。

木桶でじっくり仕込まれるたまり醤油。本当に奥深い味わいです。

全国的にはマイナーな「たまり醤油」ですが、こんなに美味しいんだもの、もっと多くの人に知ってもらいたいです。東海地方以外ではスーパーなどで簡単に購入するのは難しいかもしれませんが、インターネットでなら色んな種類のたまり醤油を手に入れることができますよ♪

山川醸造さんの商品はこれ↓↓↓


マルカワ溜醤油 長良 1.8L 【たまりや 岐阜・山川醸造】


伝承美濃地溜 みのび (醤油) 500ml 【たまりや 岐阜・山川醸造】


マルカワ溜醤油 浅五分溜醤油 1.8L 【たまりや 岐阜・山川醸造】


【送料込】 伝承美濃地溜(醤油)みのび・漆黒セット 母の日、父の日、岐阜・ご当地・グルメ・ギフト・お歳暮・お中元・贈り物に!


【最高級の醤油】幻のたまり 醤油!!素材が一つに溶け合った旨味の雫 【漆黒】 幾多の料理人たちに愛用され育てられてきた玄人の味!これだけで簡単にプロ仕込みの味が出せる!美濃のたまり・しょうゆ・しょう油 特別セール!!

こちらも岐阜市の蔵ですね!↓↓


芋慶本醸造生引きたまり醤油 1L

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